KAGETOHIKARI
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11分に約90メートル、1日に約800キロの糸が、染められるために流れていく。2染色ゾーンでは、隈氏の求める色彩表現するための染料が調色され、タンクにセットされる。通常の窯染と比べ、1/8の水の使用量で済む。3 横一列に並んだ48本の白糸が高温度のスチームを当てられながら、染色ゾーンを通っていく。4染色ゾーンの機械を覗くと、糸が染まっていく様が見える。4色のグラデーションで染められていく。 5 並んだ48本の染糸に、均一にスチームを当て、染料を発色させていく。 6スチームを何度も当てることで、染料を発色させ、固着させていく。 7コイラー部分で、48本の糸は束ねられ綛状になっていく。8余分な染料を洗い落とし、柔軟加工を施して、染上りとなる。9-1048本の綛状の糸が、乾燥ゾーンを通過後、ロングラインに搬入され、巻き取り工程では、乾燥と巻き取り作業が連続で行われていく。 11天井部分のロングラインを通過した糸が、ワインダーで巻き取られてコーン状態になっていく。奈良県の二上山の麓で、60余年染色を続けてきたヨネセンは、チーズ染色や綛(カセ)染色、スペースダイといった複雑な染色技術も極めてきました。今回はさらに、未体験の染色の世界へと挑みます。工場の天井部分をダイナミックに幾十もの糸が頭の上に流れています。その糸の数は48本。1分に90メートルが流れていき、染色・スチーミング・柔軟・乾燥といくつもの工程を経て、最後はワインダーへと巻き取られていきます。一日で染められる糸の量は約800キロにもなる。染める工程で、隈氏が求めたのは、圧倒的なグラデーションの美しさでした。糸の捺染とも言えるグラデーション糸は、古くは伝統工芸の「絣染め」として継承されてきたもの。従来のグラデーションは、色相を分けて配色を行い染めていくことがほとんど。しかし、今回は同色相における濃中淡のグラデーション加工という、未知なる表現が求められました。同色相によるグラデーション表現を、いかに実現するのか。当初は、色と色の切り替り部分が滲んでしまい想定外の色になったり、一見単色に見えてしまうこともありました。幾度となく繰り返される試作。色同士の重なりを計算し尽くして、ついに理想のカラーパターンをつくりあげました。採用したのは、他では真似することができない連続多色染色(スペースダイ)という染色方法。1本の糸に対し最大8色の色を付けることができ、かつ、それぞれの単色表現は色のピッチが自由に調整可能です。「もわもわ」では、4色のグラデーションを染めるピッチが長いタイプで。「つぶつぶ」「しゃらしゃら」では、ピッチが短いタイプを使用しました。ここにヨネセンの染色表現が、またひとつ進化しました。染める株式会社ヨネセン(奈良県香芝市)12336374578910611

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