KAGETOHIKARI
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小嶋織物は、糸の素材・太さ・形状などの糸デザインからはじめます。糸を染色し、経糸を設計し、織機でさまざまな緯糸と組み合わせて生地をつくることも大きな強み。「カゲトヒカリ」の製品たちをつくる糸作りの現場を訪ねます。織物にはさまざまな糸が使われていますが、今回は、隈氏が描くひとつひとつの製品が目指すイメージに合わせて、どのような糸を使うかをゼロから作り上げていきました。元となるさまざまな糸を探して、組み合わせて行きますが、その組み合わせは無限。何度も検討を重ね、考え続けて、理想の糸へと撚り合わせていきます。工場へ入ると撚るための機械が動いています。下の段の糸巻きコーンには、何種類もの糸がセッティングされ、それらが上に撚り合わせて巻き取られていきます。糸と糸が合わさり生まれる新しい糸。新たな表情をまとう新しい糸に、素直に感動します。次の工程へ移ると、作られた糸を巻いたコーンたちが、何十本も差し込まれています。そこから空中を数メートルに渡ってピンと張られていく糸たち。これが織物生地の経糸となります。巾が約1メートル、ピッチが数ミリという単位で均等に張られた糸たちは、何層もの透明な床にも見えてくるほどの美しさ。職人たちは、糸が巻かれたコーンから出る糸が、すべて同じ強度で張られているかに細心の注意を払い、調整を繰り返します。糸同士の間隔を均等に保ち、そして糸たちは一度巻き取られていきます。その次は手作業による「筬通し」と呼ばれる工程。先ほどの経糸同士の間に、緯糸を通していきます。一本一本丁寧に整える。すべて職人の熟練のなせる技。丁寧な素材づくりが「カゲトヒカリ」のクオリティを支えています。整える小嶋織物株式会社(京都府木津川市)1設計に沿って糸の数や色をセッティングする。下の糸巻コーンから糸を上げ、上に巻き取りながら撚り合わせてミックス糸をつくっていく。2-4 壁紙の製品巾を想定して、経糸を一斉に張る。糸の巻かれたコーンから出る糸はすべて同じ強さで引っ張るように調整される。5糸同士の間隔を一定に保ち、織り目を整えて巻き取ることができる。6張りが均等になるよう幾つものロールを通し、最後に筬で間隔を整える。7間隔が整えられた経糸が、巻き取られていく。8-10緯糸を打ち込むために、筬に経糸を通していく「筬通し」。熟練の技で1本1本丁寧にかつスピードを持って糸が通されていく。124689107534041

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